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和田仁

くりにっくの想い、本で例えたら

 

 くりにっくをどうして立ち上げたのですか?と、その理由を問われることがあります。がんコーディネートくりにっくって、いったいどんな診療をしているのだろう?と。


 私の伝え方の問題もあって、みなさんにうまくお伝えできてないかもしれません。

 

 先日、それを本(書籍)で例えてみたら、お伝えした2人とも「すごくわかりやすい」とおっしゃってくださりました。わたしが想う部分の輪郭をはっきりさせるような感じだったそうです。

 

 ということで、以下に文章として残すことにしました。


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 最初に私の読書歴から。


 小学生の時はいろいろな小説を読むのが好きでした。ただ、中学生になってからは、教科書や参考書が愛読書みたいになってしまいましたし、大学生のころは部活(サッカー)と宴会(お酒)に明け暮れて読書どころではありませんでした。

 

 医者になっても、医学書とか雑誌くらいしか目を通さない時期がしばらく続きました。しかし、病院経営とか開業医の選択肢とかを意識し始めた30歳代後半から、また読書熱が復活しました。最初は、ノウハウ系の書籍、ついで成功哲学系の書籍などをいろいろと読むようになりました。そして緩和医療を今後の選択肢としても意識するようになってからは、がん心理やスピリチュアルケア関連の書籍、がん患者さんの体験談なども多く読むようになりました。

 

 ノウハウ系は今もたくさん出版されていますけど 最近はどうも内容が薄っぺらく感じるようになりました。一方で、偉人さんたちの成功哲学系書籍は今もたまに読み直したりします。読むほどにみな似たようなこと(真理的な核心的な)を書いているようにみえ、世の本質って同じなんだなということを実感しつつもあります。ここは、またの機会に…

 


 で、今の医療の標準治療というのがノウハウ本に当てはまるといって良い、と思っています。特に若いお医者さんは、診療ガイドラインと名のつく絶対的なノウハウ本などを参考に、そこで推奨されていることだけを理由に治療の適否を決めたりします。ひどい場合だと、それに逆らったクライアントさんには「うちにはもう来なくていい」と見放す医者がいたりします。しかも、少なからず。

 

 一方で、西洋医学を「医療の闇」とか「医療陰謀論」と批判したり、きわめて根拠が怪しい民間療法を宣伝しているのが、主観だらけの体験本みたいな感じです。

 

 でも、現実は、同じ状況同じ相手のシチュエーションなんて、ありえない。一人一人のクライアントさんがすべて、別のシチュエーションです。

 


 「それ、病院でもできるだろ?」というご意見もあるでしょう。もちろん、その通りです。実際に日頃の臨床で、がんばって実践されている先生を何人も存じ上げてきました。


 でも正直、組織やルールの限界も嫌というほど経験してきました。


 そういう手厚いサポートを提供するのが、時間的にも人的にも金銭的にも難しい仕組みが日本の医療制度にはあります。

 

 普通の診察は、一方通行ばかりな感じがしています。もちろん、すべてでそうであるわけではありませんが、第三者的な立ち位置のくりにっくだからこそ「相思相愛の仲を、自ら手に入れる」ことがしやすくなると思っています。 


 本との出会いもそうだけど、 人の出会いって、受け身じゃなくて自分から手にとって得るのが大事だと思っています。かくいう私も、何度となく、受け身で失敗してきました。


 読書ってすごくコスパのよい娯楽だと思います。誰かが何年も、何十年も?かけて経験して学んだことを、2000円くらいで教えてもらえちゃう。そして、読んだときに感動して、それを自分の引き出しに入れておいて、また何かの時に開いて、そこからさらに発展できる。

 そして本からは自分だけの「宝物」をいろいろ見つけることもできます。


 本と同じように、がん診療という世界で、その方の自分の「宝物」をみつける、あと押しみたいなことができればいいな。


 そんな想いから、がんコーディネートくりにっくを立ち上げました。

 



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