最初の読書感想文は、昨年のブログ(や南東北病院さんのホームページ)でも紹介させていただいた本です。この本を最初に読んだのは5年くらい前だったと思います。
最初に、そのブログで書いた書籍紹介の一部を『』内に転載します。
『原著は米国Amazonがん部門で1位、ニューヨークタイムスベストセラーになったことがあるそうです。 がんが自然に治った(自然治癒)とされる事例について著者自ら世界各国に出向き、約100人にインタビューし調査したことをまとめたという本です。
この中で著者のケリーターナーさんはがんの自然治癒を体験されたとされる人たちによる「9つの共通する実践項目」を抽出しています。 ①抜本的に食事を変える ②治療法は自分で決める ③直感に従う ④ハーブとサプリメントの力を借りる ⑤抑圧された感情を解き放つ ⑥より前向きに生きる ⑦周囲の人の支えを受け入れる ⑧自分の魂と深く繋がる ⑨どうしても生きたい理由を持つ―の9項目です。 なんと7項目が「心の持ちよう」だったそうです。』
9項目のうち、①と④は食に関することです。身体(=肉体)の元となる材料が直接がん細胞にも大きく影響するだろうことは、誰しも察することができます。世の中には、「がんに効く」と謳っているいろいろな食事療法の情報が拡散しています。肉の是非、砂糖をはじめとする白いものの是非、糖質の是非、断食の是非など、様々な理論や見解や体験談があります。いろいろな食事療法を見聞きし自分なりに少しずつ調べてきた私にも、いったい何が正しいのかいまだによくわかっていません。今のところ、結局は自分が良いと感じたものや信じたものが良いような気がしています。自家ワクチンとして(?)自分の尿を飲むという飲尿療法というのも昔からありますね。
がんの食事療法、奥深いです。
この本を何度か読み返しても、ケリーターナーさんが挙げた9項目の中で私がしっくりこなかった、腑に落ちる感じがしなかったのが、「⑧自分の魂と深くつながる」の章でした。主に心(メンタル)に関係する②③⑤⑥⑦⑨の各項目に関しては、がん診療に長くかかわらせていただいた私自身も、病状が良くなりやすそうな方々は多かれ少なかれそのような心構えをお持ちだなあと感じてきましたけれど。
そもそも「魂」とはなんぞや?ほぼほぼ無宗教な私にとって「魂」とか「霊」といったものは、不思議な怪しげな雰囲気の方が多い気がしていたスピリチュアル系の世界という先入観で(邪魔されて?)、頭で理解できるものではなく、キリスト教が身近な欧米ならではの独特な感覚だろうくらいにしか思えませんでした。きっと私と同じように感じられる方々は少なくないだろうな、とも思いました。
この本を最初に読んだ後も、読み返した後も、「⑧自分の魂と深くつながる」の部分がずっと引っかかり、何かきっかけみたいなものがつかめればと、いろいろな書籍やネット情報や学会・研究会・セミナーなどで自分なりに見聞きしました。しかし、スピリチュアリティー(霊性)の部分はやっぱりなんだかよくわからないままの状況が続きました。瞑想とかお祈りとかも人によっては有効らしいのですが、私にはよくわかりませんでした。自ら瞑想っぽいことをしているうちに、うっかり寝落ちしちゃうこともありました…。
がん緩和ケアで重視される「スピリチュアル(霊性)ケア」。これも、緩和ケア系医学会や私の知る臨床現場などでは、「メンタルケア」とか「死の受容」とか「宗教」はテーマにしばしば出てくるものの、「無宗教者の霊や魂」について掘り下げた話題の報告というのは(あくまで私の知っている範囲では)無い印象でした。
しかし(コロナ禍の)最近、なんとなく「これ?」と私なりに感じるものに出会いました。スピ系と思われてしまうかもしれませんが、自分の潜在意識に外から働きかけるヒプノセラピー(和訳は催眠療法:催眠術ではありません)です。これからのがん診療において、私は今けっこう注目しています。ちなみに、ヒプノセラピーって実は日本の保険診療でもすでに承認されている(催眠療法の文言がしっかり記載されている)心理療法だということ、ご存じでしたか?
別の読書感想文を含め、改めて私なりに触れてみたいと思います。
付記:診療報酬点数表 I004 心身医学療法(1回につき)
(1) 心身医学療法とは、心身症の患者について、一定の治療計画に基づいて、身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、当該患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善又は傷病からの回復を図る治療方法をいう。この心身医学療法には、自律訓練法、カウンセリング、行動療法、催眠療法、バイオフィードバック療法、交流分析、ゲシュタルト療法、生体エネルギー療法、森田療法、絶食療法、一般心理療法及び簡便型精神分析療法が含まれる。
(2) 心身医学療法は、当該療法に習熟した医師によって行われた場合に算定する。
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